「うちの会社、20年やってきたノウハウはあるんです。でも、それをどうサービスにすればいいのかがわからない」。この言葉を、経営者や事業部門の責任者から、何度聞いたかわからない。
業界知識がある。顧客との信頼関係がある。積み上げてきた経験がある。なのに、それが新しいサービスに変わる気配がない。もどかしい感覚を、ずっと抱えている。
でも、実際に自社の強みをサービス化できた会社を見ていると、共通している点がある。技術力の差でも、資金力の差でも、人材の差でもない。考え方の差だ。
「何ができるか」より「何が手に入るか」で語った
強みをサービスにできた会社の一つ目の共通点は、自分たちの強みを「顧客が得るもの」の言葉で定義し直した、ということだ。
たとえば、精密加工を得意とする製造業の会社があった。「うちの強みは精密加工の技術だ」と言っていた。それは事実だ。でも、顧客にとっての価値は何か。「発注してから3営業日で仕上がる」「図面の曖昧な箇所を自分たちで判断して進めてくれる」「検品まで含めて任せられる」——顧客に聞いてみると、こういう言葉が出てきた。
自分たちが「技術」と呼んでいたものは、顧客からは「時間と判断を任せられる安心感」として受け取られていた。この言語化ができると、サービスの設計が変わる。「精密加工サービス」ではなく、「図面から納品まで、確認不要で任せられる小ロット製造サービス」という形になる。
自分たちが「何ができるか」ではなく、顧客にとって「何が手に入るか」——この視点の転換が、最初の分岐点だ。
「ちょうど困っている人」がいる場所を見つけた
二つ目の共通点は、自分たちの強みと、まだうまく解決されていない市場のニーズが重なる場所を見つけた、ということだ。
強みがあっても、そこに需要がなければサービスにはならない。需要があっても、そこに強みがなければ継続できない。この二つが重なる場所を探すことが、サービス設計の中心にある。
見つけ方は、大きな市場調査から始まる必要はない。むしろ、今の顧客から聞こえてくる「困りごと」を拾うことから始まることが多い。「こういう場合、どこに頼めばいいかわからなくて」「今まで誰もやってくれなかった」——こういう言葉が、ニーズのサインだ。
たとえば、あるコンサルティング会社が、クライアントから何度も「採用面接の評価基準を作るのが苦手で」という話を聞くとする。それが自社の得意領域なのに、単体のサービスとして売ったことがないなら、パッケージ化して提案してみる価値がある。すでにある強みと、顧客がまだ言葉にしていないニーズが重なるのは、こうした場面だ。
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大きく賭ける前に、小さく試した
三つ目の共通点は、コミットする前に、小さく試した、ということだ。
新しいサービスを始めるとき、「専任チームを作って」「サービスサイトを作って」「本格的に告知して」という動き方をしてしまうと、試行の単位が大きくなる。うまくいかなかったときのコストが高くなる。失敗が怖くなる。結果、動けなくなる。
うまくいっている会社は、最初の一手を小さく設計する。既存の顧客1〜2社に、非公式に提案してみる。仮のサービス説明を一枚作って、反応を見る。完成していなくても、試せる形にして、実際の反応を集める。
この小さな試みから得られるフィードバックが、サービスの輪郭を作る。価格設定も、訴求方法も、想定顧客像も、試す前に考えていたものと変わることが多い。変わるから、早く試すことに意味がある。
強みは、言語化されるまで活かされない
長年積み上げてきた知識や経験は、本物だ。それを疑う必要はない。ただ、それが「顧客の言葉で定義されているか」「需要と重なっているか」「試せる形になっているか」——この三つが揃って初めて、強みはサービスになる。
多くの会社が強みを持ちながら、この変換プロセスで詰まっている。詰まる理由は、強みが足りないからではない。変換の手順を知らないからだ。
「自社の何が強みなのか、実はよくわからない」という経営者がいる。20年やってきているのに、そう言う。でも、それは珍しくない。自分たちが当たり前にやっていることは、強みとして見えにくい。外から見ると、はっきりわかる。強みを見つけ、言語化し、試せる形に変える。この旅は、一人でやるより、横に誰かいたほうが速い。
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積み上げてきた強みを、サービスの形に変える。
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オルアナの新規事業開発について聞く →自社の強みを見つけるための棚卸しの順番
強みは、自分たちでは当たり前の作業として埋もれていることが多い。次の順番で洗い出すと、サービスの種が見つかりやすい。
- 顧客から繰り返しお礼を言われた場面を書き出す。何に対して感謝されたかが、価値の手がかりになる。
- 他社に断られて、自社に来た依頼を思い出す。断られる仕事を受けられることは、差になっている。
- 社内で「いつものこと」と呼んでいる手順を挙げる。その手順を他社は持っていないかもしれない。
- 担当者が替わっても品質が変わらない作業を探す。仕組みとして再現できるものは、サービスにしやすい。
- 書き出したものを、顧客が得るものの言葉に言い換える。
強みをサービスにする前に確認したい四つの問い
候補が見つかったら、いきなり形にせず、次の問いで絞る。
| 問い | 確認する内容 |
|---|---|
| 誰の困りごとか | 思い浮かべる顧客の姿が具体的に言えるか |
| 今はどう解決されているか | 代わりの手段があるなら、それより良い点を説明できるか |
| 継続して提供できるか | 特定の一人に頼らず、繰り返し提供できるか |
| 既存の仕事を圧迫しないか | 本業の品質や納期を落とさずに続けられるか |
この四つのうち、答えられないものが残る候補は、まだ試す段階ではない。答えが書けたものから、小さく試せる形にしていく。
棚卸しは一人で行わず、営業、現場、管理など立場の違う複数の人で行うほうがよい。同じ作業でも、人によって「特別なこと」と感じる度合いが異なる。違いが出た項目こそ、外から見た強みの候補になりやすい。
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この課題を、解決するまでの流れ
STEP 1
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この記事で、状況を整理しました。
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判断材料を集める