システム化の相談で、「どこまで作るか」がいつまでも決まらないことがあります。全部の業務を対象にすると計画が重くなり、絞りすぎると効果が見えなくなります。最初の範囲は、感覚ではなく、いくつかの基準で決められます。この記事では、システム開発の最初の範囲を絞るための3つの基準と、段階的に広げる順番を整理します。
最初の範囲を決める3つの基準
候補になる業務を並べて、次の3つの基準で見比べます。
| 基準 | 見るポイント | 高いほど優先する理由 |
|---|---|---|
| 頻度 | その業務が、毎日、毎週、毎月のどのくらいの頻度で発生するか | 効果が積み上がり、変化を実感しやすい |
| 手間 | 1回あたりに、どのくらいの時間と人手がかかっているか | 削減できる時間が大きい |
| 影響の広がり | 間違いや遅れが起きたとき、ほかの業務や取引先にどこまで影響するか | ミスの連鎖を止められる |
3つの基準がそろって高い業務が、最初の候補です。いずれかが極端に低い業務は、後に回しても困りません。
範囲に入れなくてよいもの
- 年に数回しか起きない、例外的な処理
- 今のやり方で困っていない業務
- すでにうまく動いている、既存のシステムやツールの部分
入れないと決めた部分は、そのまま今のやり方を残します。既存のExcelやシステムを、すべて置き換える必要はありません。
自社の場合に当てはめて整理したい方は、システム開発について相談する →
段階的に広げる順番
- 最初の範囲を、一つの業務の流れに絞る。
- 実際に動かして、自社の業務に合うかを確かめる。
- 使ってみて出た「足りない点」を整理し、優先順位をつける。
- 次に広げる業務を、同じ3つの基準で選ぶ。
この順番だと、各段階で、続けるか、見直すかを判断できます。進め方の全体は、システム開発の進め方で説明しています。
範囲が大きすぎる、または小さすぎるときのサイン
| 状態 | 起きやすいこと | 見直し方 |
|---|---|---|
| 大きすぎる | 要件がまとまらず、着手までに時間がかかる。関係者の意見が割れる | 一つの業務の流れに絞り、残りは次の段階に回す |
| 小さすぎる | 導入しても、前後の作業が手作業のままで、効果が見えにくい | 前後の業務とのつながりまで含めて、範囲を決め直す |
範囲を決める前に、確認しておくこと
- 対象の業務で使っているデータが、どこに、どの形で保存されているか
- 他のシステムや、取引先とやり取りする部分があるか
- その業務を実際に行っている担当者が、範囲の検討に加われるか
契約前に主要な機能を動かして確かめる進め方であれば、範囲が自社の業務に合っているかを、契約の前に確認できます。詳しくはシステム開発の開発範囲・費用・運用をご覧ください。費用の決まり方は、システム開発の費用相場 完全ガイドで整理しています。
よくある質問
Q. システム開発は、最初から全部の業務を対象にしたほうがいいですか?
A. いいえ。最初から全部を置き換える必要はありません。効果が見込める業務から始め、既存の仕組みを残す範囲も一緒に考えるほうが、無理なく進められます。
Q. 最初の範囲は、誰が決めるのですか?
A. 発注する側と開発する側が、業務の流れを見ながら一緒に決めます。発注側だけで決めると、実際の業務に合わない範囲になりやすく、開発側だけで決めると、使われない範囲になりやすくなります。
Q. 範囲を絞ると、あとから機能を追加するときに費用が増えませんか?
A. 追加の進め方と費用は、契約の前に確認しておくことが大切です。最初の範囲を決めるときに、次に広げる候補と、その扱いを、あらかじめ整理しておきます。
Q. 範囲が小さすぎて、効果が出ないことはありませんか?
A. あります。手間の大きい業務に絞ったのに、その前後の作業が手作業のままだと、効果が見えにくくなります。前後の業務のつながりまで含めて、範囲を決めます。
発信:株式会社オルアナ(新規事業開発・システム開発・AIエージェント開発・バックオフィス業務支援)
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