新規事業の旗振りを任されたあなたへ。組織の中で「新しい挑戦をやり抜く意志のある人」を見つけ、口説き、チームに引き入れる──これは事業立ち上げで最も難しい仕事の一つです。本記事は、その難題に向き合うあなたへの実践ガイドです。必要な4つの役割と、3〜5人の理想的なメンバー構成、よくある失敗パターンを解説します。

結論:必要な4つの役割を3〜5人で兼務する

新規事業の立ち上げ期に必要な役割は、突き詰めると4つしかありません。「事業責任者」「顧客理解担当」「実装担当」「運営担当」です。これを3〜5人のメンバーで兼務しながら回すのが現実的かつ効率的な体制です。

必要な4つの役割

役割主な責任求められるスキル
事業責任者事業の意思決定、ステークホルダー調整、資源配分判断力、巻き込み力、財務理解
顧客理解担当顧客ヒアリング、課題把握、要件整理傾聴力、構造化思考、業界知識
実装担当プロトタイプ作成、技術的実現性検証エンジニアリング、技術選定、AI活用
運営担当営業・マーケ・カスタマー対応・経理など多領域カバー、調整力、PDCA

規模別の構成パターン

3人体制(最小構成)

  • 1人目:事業責任者 兼 顧客理解担当(事業の意思決定と顧客との接点を担う)
  • 2人目:実装担当(エンジニア、プロトタイプ作成)
  • 3人目:運営担当(営業・マーケ・バックオフィス全般)

3人なら意思決定が速く、情報共有のオーバーヘッドも最小。ただし全員がフル稼働しないと回らないため、メンバー1人欠けるとプロジェクト停止リスクが高くなります。

4人体制(推奨)

  • 1人目:事業責任者(意思決定と外部交渉)
  • 2人目:顧客理解担当(ヒアリング・要件整理)
  • 3人目:実装担当(エンジニア)
  • 4人目:運営担当(営業・マーケ・カスタマー対応)

各役割が独立して動けるため、並列で進めやすい構成。新規事業の立ち上げ期で最もバランスが良い。

5人体制(拡張型)

  • 4人体制に「営業・マーケ専任」を追加
  • 顧客獲得を加速したいフェーズで効果的

初期顧客が10〜20社確保できて、本格的に売上を伸ばすフェーズに移行する段階で5人目を追加するのが一般的です。

メンバー選定の3つの原則

原則1:「やる気のある人」より「課題を理解している人」

「新規事業をやりたい」と手を挙げた人より、「この課題は解決すべきだ」と顧客の痛みを理解している人を優先します。やる気は半年で枯れますが、課題への深い理解は事業を支え続けます。

原則2:「多役こなせる人」を中心に

新規事業の初期は役割が流動的で、想定外の業務が次々発生します。「自分の担当外はやらない」という人より、「必要なら何でもやる」というメンバーを集める方が機能します。

原則3:意見の違う人を入れる

全員が同じ視点だと議論が深まらず、認識の死角に気づけません。「営業出身」「エンジニア出身」「経営企画出身」のように、出身バックグラウンドが違う人を混ぜることで、健全な対立と建設的な議論が生まれます。

よくある失敗パターン

失敗1:「兼務だらけ」で本業に流される

本業との兼務でメンバーを集めると、繁忙期に本業優先で新規事業が止まります。新規事業に少なくとも工数の50%を割けるメンバーが3人は必要です。それが難しい場合、外部パートナーを活用する選択肢を検討してください。

失敗2:「上司が事業責任者」で意思決定が遅い

事業責任者が他に経営層として多忙だと、判断会議が頻繁に開けず、スピードが落ちます。事業責任者は新規事業に十分な時間を割ける人にすべきです。

失敗3:「全員社内のみ」で視野が狭くなる

社内のメンバーだけでは、業界の常識に縛られた発想になりがちです。外部の専門家・顧問・パートナーを少なくとも1名は関与させることで、新鮮な視点が入ります。

よくある質問

Q. 専任メンバーが集められない時はどうすべきですか?

事業責任者は専任にし、他は兼務でも構いません。ただし兼務する人には新規事業に最低でも週20時間以上の時間を確保させ、本業のKPIから一部を外してあげる配慮が必要です。「兼務だけど評価は両方」という曖昧な状態は誰も得をしません。

Q. 実装担当として、社外のエンジニアを使うのは現実的ですか?

初期フェーズでは外部パートナーの活用が有効です。社内に新規事業向けのエンジニアを抱える余裕がなくても、「並走型システム開発」のようなサービスを使えば、契約前にプロトタイプを確認してから本契約に進めるため、リスクを抑えてシステム開発を進められます。

Q. メンバーへの評価制度はどうすべきですか?

既存事業と同じ評価制度では新規事業のメンバーが報われません。「失敗しても挑戦した行動を評価する」「短期売上ではなく仮説検証の質を見る」など、新規事業独自の評価軸を設計することが重要です。

まとめ:4つの役割を3〜5人で兼務する

新規事業のチーム構成は、必要な4つの役割(事業責任者・顧客理解・実装・運営)を3〜5人のメンバーで兼務して回すのが現実的かつ効率的です。やる気より課題理解、多役こなせる人、意見の違う人、という3原則で選定することで、立ち上げ期を乗り越える強いチームになります。

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