「安心な会社に頼んだのに」という経験
業務システムの発注先を選ぶとき、多くの会社が「潰れないか」を気にします。無理もないことです。数百万、数千万の投資をして、途中で会社がなくなれば困る。その判断自体は合理的です。
ただ、長く仕事をしてきて感じるのは、「会社として安定していること」と「システムとして長く安定して使えること」は、まったく別の話だということです。
大手と呼ばれる会社と契約して、後から苦しんでいる会社には共通した構造があります。独自のフレームワークで構築されていて、他社では手が出せない。方針が変わってサービスが終了し、移行コストが膨大になった。担当者が変わるたびに経緯が引き継がれず、改修のたびに同じ説明を繰り返している。
問うべきは「会社の安定」ではなく「自分の困らない設計」
発注先を選ぶ時に本当に問うべき質問は、「この会社が10年後も存在するか」ではありません。「この取引先が消えた時、自分のシステムは誰かが継続できるか」です。
汎用的な技術で構築されていれば、その技術を使える会社は世の中に無数にいます。ソースコードが引き渡されていれば、別の会社が引き受けられます。仕様書と運用情報が整理されていれば、担当者が変わっても継続できます。
私たちが最初から「困らない設計」を前提にするのは、逆説的に聞こえるかもしれませんが、それがお客様との長期的な関係を成立させる唯一の方法だと考えているからです。「いつでも辞められる」関係の方が、かえって長く続く。これは実体験からきている感覚です。
技術選定の基準をどこに置くか
私たちが開発に使う技術は、業界標準として広く使われているものを選びます。独自フレームワークは使いません。ソースコードは納品物に含みます。運用マニュアルと仕様書は、私たちがいなくなっても読める状態で残します。
これは保険ではありません。これが私たちの仕事の基本です。依頼者が「この開発会社がいなくなっても困らない状態」を作ることを、良い仕事の条件の一つと考えています。
業務システムの発注を検討している方が、ベンダー候補に聞いてみてほしい質問があります。「あなたたちがいなくなっても、このシステムは動き続けますか?」——その答えに、その会社の仕事への姿勢が出ます。
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