業務システムの開発期間を尋ねると、「規模によります」という答えが返ってくることが多い。その通りではあるのですが、では規模ごとにどれくらいかかるのか、なぜ長引くのか、どうすれば短縮できるのか——具体的な数字で知っておきたいと思う方のために、この記事ではフェーズ別の内訳も含めて整理しています。
規模別の目安:最短2ヶ月、標準4〜6ヶ月、基幹系は1年超
社内5人以下が使う管理ツールや、特定業務の入力・集計を自動化する小規模なシステムであれば、2〜3ヶ月で完成するケースがあります。機能を絞り、既存のフレームワークやSaaSの組み合わせで対応できる範囲なら、設計から本番稼働まで2ヶ月台は現実的な目安です。
受発注管理・在庫管理・勤怠管理など、複数の部門をまたいで使う標準的な業務システムになると、4〜6ヶ月が一般的な期間です。要件が固まっていて、途中の仕様変更が少なければ4ヶ月台で収まることもありますが、初めてシステム発注をする会社では確認作業に時間がかかり、6ヶ月前後になることが多い印象です。
会計・生産管理・人事給与といった基幹系システムや、複数拠点・複数システムとの連携が必要な構成では、1年以上かかるのが通常です。要件定義だけで数ヶ月に及ぶこともあります。
フェーズごとの所要期間
システム開発は大きく5つのフェーズで進みます。それぞれにかかる期間の目安と、各フェーズで何をしているかを順に見ていきます。
要件定義:2〜4週間
「何を作るか」を決める工程です。現状の業務フローを整理し、システムで解決したい課題を明確にして、必要な機能の一覧をまとめます。発注側の担当者が積極的に動ける体制があれば2週間程度で終わりますが、関係部署が多い場合や、現状業務の整理から始める場合は4週間かかることもあります。
このフェーズを短縮しようとして「だいたいこんな感じで」で進めると、後のフェーズで必ず戻ってきます。期間短縮を急ぐ場合でも、要件定義だけはしっかり時間をかけることをお勧めします。
設計:2〜4週間
要件をもとに、画面の構成・データの持ち方・処理の流れを設計します。開発者が実際に手を動かす前の設計図にあたる工程で、ここで決めた内容が開発の品質と速度を左右します。小規模なシステムなら2週間ほどですが、データ構造が複雑だったり、外部サービスとの連携が多い場合は4週間前後になります。
開発:4〜8週間
実際にコードを書く工程です。全体の工程の中でもっとも期間が長く、投入できる開発者の数と機能の複雑さによって変動します。機能数が少なく設計が明確であれば4週間程度ですが、複雑な業務ロジックや多くの画面が必要な場合は8週間以上になります。
テスト・修正:2〜4週間
開発者によるテストに加えて、発注側による動作確認(受入テスト)を行います。実際の業務データを使って試してもらうと、この段階で「こういう動きを想定していなかった」という指摘が出ることが多く、修正と再確認のサイクルがどこまで続くかでこのフェーズの期間が決まります。
テストに割く時間を短く見積もると、本番稼働後に不具合が頻発します。2〜4週間のうち、実際に社内スタッフが触って確認する時間を確保できるよう、スケジュールを組む段階から計画に入れておくことが重要です。
導入・研修:1〜2週間
本番環境へのデプロイと、実際に使うスタッフへの操作説明です。ITリテラシーにばらつきがある組織では、マニュアル作成と個別フォローに想定以上の時間がかかることがあります。導入直後のサポート体制をあらかじめ決めておくと、この期間をスムーズに乗り越えられます。
期間が伸びる主な原因
納期が守られなかったプロジェクトを振り返ると、原因はほぼ共通しています。
もっとも多いのは要件の曖昧さです。「使いやすいようにしてください」「だいたいこういうイメージで」という形で進めると、開発側が判断に迷うたびに確認が発生し、その都度スケジュールが後ろにずれます。最初の要件定義で「何を、誰が、どのような条件で使うのか」を具体的に詰めておくことが、結果的にもっとも期間短縮に効きます。
次に多いのが途中の仕様変更です。開発中に「やはりこの機能も追加したい」「この画面のレイアウトを変えたい」という要望が出ること自体は自然なことですが、都度対応していると開発計画全体が崩れます。変更が発生した場合は期間と費用への影響を確認した上で判断する、という意思決定ルールを発注側で決めておくと余計な混乱を防げます。
もう一つは確認待ちによる停滞です。開発側が「ここはどちらの仕様にしますか」と質問を投げても、発注側の担当者の確認に数日かかるというケースは珍しくありません。窓口となる担当者が決裁権を持っているか、または決裁者に素早くエスカレーションできる体制を作っておくと、このロスを大幅に減らせます。
発注側が期間を短縮するためにできること
開発期間を左右する要因の多くは、実は発注側のアクションにかかっています。
まず、発注前に現状業務を自分たちで整理しておくことが大きな違いを生みます。「現在Excelでどのような管理をしているか」「どの作業がボトルネックになっているか」を文書化しておくと、要件定義の時間が半分以下になることがあります。完璧な資料でなくていい。箇条書きでも、手書きのメモでも、あるほうが圧倒的にスムーズです。
次に、意思決定できる担当者を窓口に立てることです。複数の部門にまたがるシステムでは、部門ごとの要望をとりまとめて最終判断を下せる人物がいないと、確認のたびに横断的な調整が発生します。プロジェクトオーナーを明確にし、その人が開発会社との主要な連絡先になることが理想です。
また、フェーズごとに確認の期限を決めておくことも有効です。「画面デザインのフィードバックは受領後3営業日以内」「テストの確認結果は2週間以内」というように、発注側のアクションにも期限を設けると、プロジェクト全体のテンポが安定します。
よくある質問
開発会社から提示された期間が長すぎると感じたとき、交渉できますか?
交渉自体は可能ですが、無理に短縮しても質が落ちるリスクがあります。「なぜその期間が必要なのか」をフェーズごとに説明してもらい、どのフェーズにどれだけの工数を見ているかを確認することが先決です。その上で、機能を絞ることで期間を短くできないかを相談するのが現実的な進め方です。
アジャイル開発にすると早くなりますか?
早くなるというより、早い段階で動くものを確認できるようになります。アジャイル開発は短いサイクルで機能を積み上げていくため、完成形を最後まで待たずに途中で方向を確認・修正できる点がメリットです。ただし、発注側が毎回のレビューに参加できる体制が必要で、関与が薄いと逆に迷走することもあります。
途中で要件を追加したらどれくらい伸びますか?
追加する機能の規模によりますが、開発フェーズ後半での変更は影響範囲が広く、見かけの工数以上に期間が伸びやすいです。すでに作り込んだ部分と新しい要件の整合性を取り直す作業が発生するためです。追加要望が出たら、現フェーズを一度止めて影響を確認するか、次のバージョンとして切り分けるかを選択することが多いです。
SYSTEM DEVELOPMENT
期間と費用の目安を、先にお伝えします。
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