中小企業が業務システムを作るとき、費用はどのくらいかかるのか

「システムを作りたいんですが、だいたいいくらくらいですか?」という質問を受けることが多い。正直に言うと、この質問に一言で答えることはできない。50万円で済む場合もあれば、500万円を超える場合もある。その幅の正体を知らないまま発注すると、期待と現実のギャップに苦しむことになる。

なぜそんなに幅があるのか

費用の幅が生まれる理由は大きく三つある。「何を作るか」「どう作るか」「誰が作るか」だ。

「何を作るか」というのは機能の範囲と複雑さのこと。たとえば、受注情報を一覧で管理してPDFで出力するだけならシンプルだ。でも在庫と連動して、外部の会計ソフトと連携して、スマホからも使えて、権限管理も細かく設定したい、となると話は変わってくる。機能が一つ増えるたびに設計も実装も変わる。

「どう作るか」は技術選択と開発手法の話だ。既存のSaaSをカスタマイズする方法もあれば、フルスクラッチで一から作る方法もある。前者は安くて早いが制約がある。後者は自由だが時間とコストがかかる。

「誰が作るか」はベンダーの違いだ。フリーランス一人に頼むのか、中規模の開発会社に頼むのか、大手SIerに頼むのかで、同じものでも金額が数倍変わることは珍しくない。

安くなる条件と高くなる条件

開発費用が抑えられるのは、要件が明確で、作る範囲が絞られていて、既存ツールを活用できる場合だ。「まず最低限これだけ動けばいい」という割り切りができる会社は、最初の一歩を安く踏み出せる。

反対に費用が膨らみやすいのは、要件が途中で変わる場合だ。「やっぱりこの機能も欲しい」「現場から追加の要望が出てきた」というのが積み重なると、当初の見積もりからどんどん離れていく。開発途中の変更は、最初から設計に入れるより何倍もコストがかかることが多い。

もう一つ、外部サービスとの連携も要注意だ。既存の会計ソフト、ECサイト、物流システムなど、他のシステムとつなぐ作業は予想以上に工数がかかる。相手側のAPI仕様が古かったり、ドキュメントが不完全だったりすることも多いからだ。

「安い=いい」ではない理由

見積もりを複数社に出してもらったとき、一番安い会社に頼むのが正解とは限らない。安い見積もりには理由がある。機能を絞りすぎている、品質を下げている、保守費用が別途かかる、担当者が入れ替わりやすい体制になっている、などだ。

システムは作って終わりではない。使い始めてから「ここが使いにくい」「この機能が足りない」という話が必ず出てくる。そのとき、安さを理由に選んだベンダーが保守に消極的だったり、追加費用を大量に請求してきたりすると、結果的に高くついてしまう。

契約前にプロトタイプを見ることの意味

費用感を正確に把握するためにも、そして期待と現実のズレを防ぐためにも、契約前にプロトタイプ(試作品)を確認することをすすめたい。実際に動くものを見ると、「あ、こういう感じになるのか」という感覚がつかめる。頭の中のイメージと実際の画面は、驚くほど違うことがある。

プロトタイプを作ってくれないベンダーは、裏を返せば「完成してから文句を言われても困る」という立場に立っている可能性がある。動くものを最初に見せてくれる開発会社のほうが、発注側にとっては安心感がある。

費用の相場を知ることは大事だ。ただ、それより大事なのは「その費用で何が得られるのか」を契約前に自分の目で確かめることだと思っている。

RELATED ARTICLES

SYSTEM DEVELOPMENT

費用の話、まず聞いてみませんか

オルアナでは初回相談から費用感の目安をお伝えしています。プロトタイプを先に確認してから進めるスタイルなので、「思っていたのと違う」が起きにくい。

オルアナのシステム開発について聞く →