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「人が足りない」と感じる前に、一度立ち止まって考えてほしいことがある。今のバックオフィスの業務量は、本当に「人が足りないから」生まれているのだろうか。

多くの中小企業で、管理部門の負荷は採用や外注より先に解決できる。問題の根っこは人手ではなく、業務の中に蓄積した「無駄の構造」にある。ツールを入れる前に、まずその構造を見ることが先決だ。

業務量の正体を分解する

バックオフィスが忙しい理由を聞くと、「とにかく処理が多い」「確認が多い」「自分にしかわからない作業がある」という声が返ってくる。実はこの3つ、それぞれ別の構造から来ている。

入力の二重手間、承認フローの往復、属人化された知識。この3つの無駄の源泉を分解せずに人を増やしても、増えた人が同じ無駄を繰り返すだけになる。

無駄の源泉① 入力の二重手間(転記)

受注情報をExcelに入れ、その内容をまた別のシステムに打ち直す。請求書のデータを会計ソフトに手入力し、同じ数字をスプレッドシートにも転記する。こうした「同じ情報を複数の場所に入れる」作業は、地味に時間を食う。

転記ミスが起きると確認作業が発生し、さらに時間がかかる。「ちょっとした手間」が積み重なって、担当者の1日の2〜3割をこうした作業が占めていることも珍しくない。

転記が発生するのは、データの入り口が複数あるからだ。紙・メール・チャット・フォームと情報が散らばっていると、誰かがどこかで「まとめる仕事」をしなければならない。ツールで解決する前に、入力の入り口をいくつ持っているかを数えてみることが出発点になる。

無駄の源泉② 確認の往復(承認フロー)

「上長に確認してから返答します」「稟議を回しているところです」。悪いことではないが、確認のためのやり取りが何往復も発生しているなら、承認フローの設計自体を見直す余地がある。

よくあるのは、金額や内容によらず何でも同じルートで承認を求める運用だ。1万円の備品購入も100万円の契約更新も同じフローを通ると、決裁者の負担が増え、担当者は待ち時間が増える。

「何のために確認しているか」を問い直すと、実は形式上のルールが残っているだけで、リスクの観点では不要なステップが見えてくる。承認フローの整理は、ワークフローツールを入れる前にやるべき仕事だ。ツールを入れてから「やっぱりこのステップはいらなかった」となると、設定のやり直しになる。

無駄の源泉③ 属人化(その人しか知らない)

「この処理はAさんに聞かないとわからない」「Bさんが休むと止まる業務がある」。属人化は、人手不足の症状の中で最もやっかいな種類だ。業務が一人の頭の中にしかないと、その人が忙しいだけで全体が詰まる。

属人化は怠慢から生まれるのではなく、「引き継ぐ余裕がない」状態が続いた結果として起きることが多い。だから人を増やしてもすぐには解消されない。新しい人が入っても、教える側に余裕がないと結局「Aさんに聞いて」という状況が続く。

属人化を解消するためには、業務の「見える化」が先にある。誰が何をどのタイミングでやっているかを言語化し、手順として残す。これはドキュメントツールの問題ではなく、時間を作って棚卸しをするという意思決定の問題だ。

ツールを入れる前に「どの無駄を消すか」を決める

3つの無駄の源泉が見えてきたところで、よくある失敗パターンを一つ挙げておく。「とりあえずツールを入れてみる」というアプローチだ。

RPA、ワークフローツール、チャットbot、電子帳票……選択肢は豊富で、どれも導入事例が出てくる。ただ、「何の無駄を消すために入れるか」が決まっていないと、ツールだけが増えて管理コストが上がる。担当者が複数のツールを使い分けることになり、結果として業務が増えるという逆転現象も起きる。

ツールはあくまで「決まった手順を自動化する」ためのものだ。手順が決まっていない、あるいは手順自体が無駄を含んでいる状態でツールを入れると、無駄な手順が自動化されるだけになる。

優先順位の付け方:頻度×時間コスト

「どこから手をつけるか」を決めるときに使えるシンプルな基準が、頻度×時間コストだ。

毎日発生する作業で、1回あたり30分かかるものと、月に1回で3時間かかるものでは、前者のほうが月間の時間コストは高い。まず現状の業務を書き出し、「どのくらいの頻度で、1回あたりどのくらい時間がかかっているか」を粗くでも数字にしてみる。

その上で、転記・承認・属人化のどれに分類されるかを確認する。頻度が高く時間コストも大きく、転記で解決できるものが最初の着手点になることが多い。転記の排除は比較的ツールとの相性がよく、効果が見えやすいからだ。

承認フローの見直しは社内の合意形成が必要で時間がかかる。属人化の解消は継続的な取り組みが必要だ。だからこそ、転記排除を先に進めながら、承認と属人化には中期的に取り組む、という順番が現実的な進め方になる。

整理のステップをまとめると

ここまでの内容を整理すると、バックオフィスの負荷を下げる前に踏む手順はこうなる。まず現状の業務を書き出し、転記・承認・属人化の3種類に分類する。次に頻度×時間コストで優先順位をつける。その上で、何の無駄を消すかを決めてからツール選定に入る。

この順番を守るだけで、ツール導入の失敗確率は大きく下がる。人を増やす検討が必要になるとしても、この整理を先にやっておくと「何をやってもらうか」が明確になるので、採用の要件定義も具体的になる。

よくある質問

業務の棚卸しをしようとしても、担当者が忙しすぎて時間が取れません。

これは多くの現場で起きる「忙しいから整理できない、整理できないから忙しい」という循環だ。打開策としては、まず経営者や管理職が「棚卸しの時間を確保すること」をタスクとして優先度を上げることから始めるしかない。1日まるごとでなくても、週に2時間を2〜3週間続けるだけで全体像は見えてくる。外部の視点を入れると、担当者が「当たり前」と思っていた無駄が見えやすくなることもある。

ツールを入れる前の整理に、どのくらい時間がかかりますか?

業務の複雑さによるが、管理部門が3〜5人規模の会社であれば、主要な業務フローの整理は2〜4週間あれば粗い全体像は出せる。完璧を目指す必要はなく、「頻度が高くて時間がかかっている上位5〜10の業務」が特定できれば、次のステップには進める。精緻なドキュメントより、着手できる状態を作ることを優先してほしい。

整理してみたら、結局ツールより人が必要という結論になることもありますか?

ある。特に、業務の性質上どうしても判断が必要で自動化になじまない領域、あるいは対外的なコミュニケーションが主体の業務では、整理してもツールでは代替できないことがわかることがある。ただその場合でも、「どんな業務をどのくらいの時間でやれる人が必要か」が明確になるので、採用の精度が上がる。整理した結果として人が必要という結論になること自体は、無駄ではない。

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どこの無駄を消すか、一緒に整理します。

オルアナはバックオフィスの業務フロー分析から入ります。ツールを入れる前の「整理」から伴走します。

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