結論を先に。 発注先の開発会社が倒産・廃業すると、多くの場合、システムの保守対応が突然止まり、不具合が起きても直せる相手がいなくなります。さらに深刻なのは、ソースコードや設計資料を発注者側が保有していない場合、システムの中身を誰も把握できない「ブラックボックス」がそのまま残ることです。中小の開発会社は決して少なくない数が事業を終えており、これは「うちには関係ない」と言い切れるリスクではありません。倒産・廃業自体を防ぐことは発注者にはできませんが、起きたときの被害を最小限にするための備えは、契約前・契約中にできます。この記事では、開発会社が倒産・廃業した場合に何が起きるかと、事前に備えておくべきことを整理します。

システム開発

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開発会社が倒産・廃業すると、具体的に何が起きるのか?

影響は大きく3つに分かれます。

  • 保守・サポート対応が突然止まる:不具合の修正依頼や問い合わせ窓口が機能しなくなり、システムに障害が起きても対応してくれる相手がいなくなります。
  • ソースコード・設計資料が入手できなくなる:契約時にソースコードの引き渡しや保管方法を取り決めていない場合、開発会社のサーバーやPCと共にすべてのデータが失われる可能性があります。
  • 担当者の連絡先が失われ、経緯が分からなくなる:開発の背景や仕様変更の経緯を知っていた担当者と連絡が取れなくなると、後任の開発会社が引き継ぐハードルが上がります。

現場での実感。 乗り換えのご相談では、「以前の開発会社と連絡が取れなくなり、ソースコードも手元にない状態でどうにかしてほしい」というお話を伺うことがあります。動いているシステムを見ながら仕様を推測し、手探りで保守を引き継ぐ作業は、通常の引き継ぎの何倍も時間がかかります。事前に備えていれば防げたはずの手間が、そのまま追加コストとして跳ね返ってきます。

備えがないまま倒産・廃業に遭遇するとどうなるか?

ソースコードがない状態でシステムを引き継ぐ場合、新しい開発会社は動作を見ながら仕様を推測せざるを得ず、通常の引き継ぎより大幅に時間と費用がかかります。最悪の場合、既存システムの引き継ぎを諦め、ゼロから作り直す判断をせざるを得ないこともあります。業務を止められないシステムであるほど、この空白期間の影響は深刻です。

倒産・廃業に備えるとは、何を準備しておくことなのか?

特別な保険に入る必要はありません。まず押さえるべきは、開発会社が今日いなくなっても業務が止まらない状態を、契約の段階で作っておくという発想です。

契約時にソースコード・設計資料の引き渡し条件を明記する

納品時にソースコード一式を受け取る、または定期的にバックアップを受け取る取り決めを契約書に盛り込むことで、開発会社に何かあっても手元に資産が残ります。

自社でもソースコード・資料のバックアップを保管する

受け取ったソースコードを開発会社任せにせず、自社のクラウドストレージ等にも保管しておくことで、開発会社側の事情に左右されなくなります。

複数人が仕様・経緯を把握できる状態にしておく

担当者一人の頭の中にしかない仕様変更の経緯を、議事録や仕様書として残しておくことで、担当者が交代しても引き継ぎが可能になります。

備えがある場合とない場合、何が違う?

観点備えがない場合備えがある場合
引き継ぎ先の開発会社の作業量動作から仕様を推測する必要があるソースコード・資料をもとに着手できる
業務停止のリスク障害対応できる相手がいない期間が生じる別の開発会社にすぐ引き継げる
再構築の要否ゼロから作り直す判断もあり得る既存資産を活かして引き継げる

契約時に確認しておきたいポイントは?

  1. ソースコードの著作権・帰属先を契約書で確認する:納品後のソースコードが発注者に帰属するのか、開発会社に留保されるのかによって、その後の対応の自由度が大きく変わります。
  2. 継続的な保守を前提とする場合はエスクロー等の仕組みも検討する:開発会社が万が一の事態に陥った際にソースコードを第三者機関経由で受け取れる仕組み(ソースコードエスクロー)も選択肢の一つです。
  3. 既に取引がある会社の場合は、今からでもバックアップを依頼する:契約を結び直せなくても、現時点のソースコード・設計資料のコピーを依頼することは、多くの場合可能です。

よくある質問

Q. 既に契約している開発会社にソースコードの引き渡しを今から依頼しても大丈夫ですか?
A. 多くの場合、依頼すること自体に問題はありません。むしろ、依頼した際の対応の丁寧さは、その開発会社の信頼性を測る一つの材料にもなります。

Q. ソースコードさえあれば、開発会社が変わっても問題なく引き継げますか?
A. ソースコードがあることは大きな前提条件ですが、仕様書やデータベース設計資料も揃っているとさらにスムーズです。ソースコードだけでも、ないよりは大幅に引き継ぎやすくなります。

Q. 小規模な開発会社との取引はやめたほうがいいですか?
A. 規模の大小より、契約時にソースコードの引き渡し条件を明確にしているかどうかが重要です。小規模でも誠実に対応する会社は多くあります。

Q. まずは何から確認すればいいですか?
A. 現在の契約書にソースコードの帰属・引き渡しに関する条項があるかを確認するところから始めてください。条項がなければ、次の更新やシステム改修のタイミングで交渉することをおすすめします。

CONSULTATION

その契約書、ソースコードの帰属は明記されていますか。

既存の契約書だけでも、今の状態を見せていただければ一緒に確認できます。

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