「Excelで管理するのは、もう限界かなと思って」。
そう言いながら、手元のノートパソコンを開いてくれた。画面には、色分けされた巨大なスプレッドシートがあった。何年もかけて育てたもので、触り方を知っているのは社内で二人しかいない。
「システムにしたいんだけど、怖くて」。その怖さは正直な感覚だ。そして、その怖さの内訳を整理することが、第一歩になる。
「怖い」と思っているリスクの多くは、実は管理できる
Excelからシステムへの移行を考えるとき、多くの経営者がまず心配するのは費用だ。「いくらかかるかわからない」「思ったより高くなるんじゃないか」。
この心配は正当だが、実は費用は最も管理しやすいリスクのひとつだ。なぜなら、事前に見積もりを取れるし、段階的に進めることで初期投資を抑えることもできる。「どこからいくら使うか」は、計画次第でコントロールできる。
では、本当に怖いリスクは何か。失敗事例を振り返ると、三つのポイントが出てくる。
リスク1:スタッフが使わない
新しいシステムが来たとき、現場のスタッフが「面倒くさい」と感じて、元の方法に戻ってしまうケースがある。これは珍しいことではない。
人間は慣れた手順を急に変えることへの抵抗感がある。特に、「新しいシステム、使いにくい」という経験が一度あると、そこから回復するのは難しい。
このリスクを下げるには、システムが自分たちの今の業務フローに合っていることが大切だ。ツールに合わせて業務を変えるのではなく、今やっていることをそのままシステムでできるようにする。そうすると「なんか違う」という感覚が減る。
リスク2:移行期間の混乱
ExcelからシステムへのデータI移行と、業務の切り替えは、同時に起きる。この時期に何かトラブルがあると、業務が滞る。
これは本物のリスクだが、移行のタイミングと方法で大きく変わる。一気に全部切り替えるのではなく、業務の一部からシステムを使い始めて、慣れたら範囲を広げる。こういう段階的な移行は、混乱を最小限に抑える。
また、Excelとシステムを並行して動かす時期を設けることで、「いざとなればExcelがある」という安心感が、スタッフの心理的負担を下げる。
リスク3:業務フローとシステムのズレ
これが最も根深いリスクだ。システムが完成したが、自分たちのやり方と微妙に合わない。結局、システムに合わせて業務のやり方を変えなければならなくなる。
自社独自の業務フローというのは、長年の試行錯誤の産物だ。取引先の特性、スタッフの得意不得意、季節による繁閑の波——そういうものを反映して、今のやり方が出来上がっている。それを外部が作った「標準的なシステム」に合わせることは、現場に余分な負担をかけることになる。
このリスクを下げるには、「現場の業務フローに合わせてシステムを作る」というアプローチが必要だ。逆ではなく。
一番確実なリスク軽減策
これらのリスクをまとめて小さくする方法がひとつある。本格的にお金を払う前に、動くものを触ってみることだ。
プロトタイプと呼ばれる、完成前の試作品を使ってみる。現場のスタッフが実際に触って「これ、使えそう」と思えるかどうかを確認する。使えそうなら進む。違和感があれば、まだ費用が少ない段階で修正する。
「費用が怖い」という不安は、もっともだ。でも、プロトタイプを触ってから本契約というプロセスがあれば、「使えないシステムにお金を払ってしまった」という最悪のシナリオは、大幅に避けられる。
Excelの限界を感じているなら、怖がることはない。リスクの正体を知れば、管理できるものとそうでないものが分かれる。そして多くのリスクは、正しい順番で進めれば、思ったより小さくなる。
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SYSTEM DEVELOPMENT
触ってから決める。それが、移行リスクを最も下げる方法です。
オルアナでは、まず1〜2週間でプロトタイプを作ります。現場スタッフが「これなら使える」と感じてから、正式に動き出します。
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