新規事業計画書の作り方テンプレート

出資者が納得するロジックとは

新規事業のアイデアがどれほど素晴らしいものでも、それが事業計画書として「カタチ」にならなければ、ただの夢物語で終わってしまいます。社内の稟議を通すため、あるいは外部からの資金を調達するためには、あなたの情熱を具体的な数字とロジックで裏付ける、説得力のある事業計画書が不可欠です。

しかし、「どうやって作ればいいのかわからない」「テンプレートを使っても、なかなか説得力が出ない」と感じている方も多いのではないでしょうか。

このコラムでは、ただ項目を埋めるだけではない、出資者や決裁者が「これならいける!」と納得するための、事業計画書の作り方を徹底解説します。

なぜ、テンプレートを埋めるだけではダメなのか?

一般的な事業計画書のテンプレートには、「事業概要」「市場分析」「収益計画」などの項目が並んでいます。もちろん、これらを埋めることは重要です。しかし、それだけではあなたの事業の「独自性」や「強み」が伝わりません。

出資者や決裁者が知りたいのは、以下の3点に集約されます。

  1. 「なぜ、この事業なのか?」:この事業をやる「必然性」や「独自性」は何か?

  2. 「なぜ、あなた(たち)なのか?」:なぜ、このチームなら成功できるのか?

  3. 「どうやって儲けるのか?」:具体的な収益モデルと成長戦略は何か?

これらの問いに、論理的かつ明確に答えることが、説得力ある事業計画書を作る鍵となります。

説得力ある事業計画書の構成要素

出資者を納得させる事業計画書は、大きく分けて以下の5つの要素で構成されます。

  1. エグゼクティブサマリー:全体像を一目で理解させる

  2. 事業概要・ミッション:事業の存在意義を示す

  3. 市場分析・競合優位性:なぜこの市場で勝てるのかを示す

  4. 事業計画(収益・投資・人員):儲けるための具体的な道筋を示す

  5. リスクと対策:リスクを冷静に分析し、対策を講じていることを示す

この中でも特に重要なのが、「4. 事業計画」と、それを裏付ける「3. 市場分析」です。以下で、それぞれのポイントを詳しく見ていきましょう。

1.事業概要とミッション:心を掴むストーリーを語る

まず、読み手の心を掴むための「事業のストーリー」を語ります。

  • 事業のミッション: 「この事業を通して、社会にどんな価値を提供したいのか?」という、事業の存在意義を明確に示します。

  • 解決したい課題: 顧客が抱えている「不便」「不満」「不足」といった課題を具体的に提示します。

  • ソリューション: その課題を、あなたの事業がどのように解決するのかを、簡潔に説明します。

このセクションでは、専門用語を避け、誰にでも伝わる言葉で書くことが大切です。読み手に「これは面白そうだ」「この事業は必要だ」と思わせることで、その後の詳細な説明を読んでもらうきっかけを作ります。

2.市場分析・競合優位性:ロジックで納得させる

ここでは、感情的な訴えだけでなく、データとロジックで事業の妥当性を示します。

  • 市場の規模と成長性
    ターゲット市場の規模(市場全体、獲得可能な市場)と、今後の成長予測を具体的な数字で示します。
  • 競合分析
    主要な競合を洗い出し、それぞれの「強み」「弱み」を分析します。その上で、あなたの事業が競合とどう差別化するのか、**「なぜ、この市場で勝てるのか」**という競争優位性を明確にします。
独自の強みを見せる「差別化戦略」

特に重要なのが、あなたの事業の差別化ポイントです。

  • コスト優位性
    競合よりも安く提供できる理由(例: 独自の生産技術、効率的なサプライチェーンなど)
  • 技術優位性
    競合にはない独自の技術や特許(例: AIを活用した独自のアルゴリズムなど)
  • サービス・ブランド優位性
    競合にはない特別な顧客体験や、揺るぎないブランドイメージ

あなたの事業が持つこれらの強みを、説得力ある言葉で表現しましょう。

3.事業計画:数字で未来を語る

いよいよ、事業計画の核心である「数字」の部分です。ここでは、以下の3つの計画を体系的に示します。

収益計画(売上計画)

「どうやって儲けるのか?」という最も重要な問いに答える部分です。

  • 収益モデル
    何に対して、どうお金をいただくのか(例: 課金モデル、広告収入、サブスクリプションなど)。複数のモデルを組み合わせる場合は、それぞれの構成比率も示します。
  • 売上予測
    3〜5年間の売上予測を、根拠となるデータ(市場規模、獲得目標顧客数、単価など)とともに示します。「なぜ、この数字になるのか?」という質問に答えられるように、具体的な算出根拠を明記することが重要です。
投資計画(コスト計画)

事業を軌道に乗せるために必要なコストを具体的に示します。

  • 初期投資
    開発費用、設備投資、マーケティング費用など、事業開始までに必要な費用。
  • 運転資金
    人件費、家賃、広告宣伝費など、事業を継続していくために必要な費用。

コストが売上を上回る時期(赤字期間)を明確にし、いつから黒字化するのかを明示することで、「いつまでお金が必要か」という見通しを共有できます。

人員計画

事業を推進していくための人的リソースを示します。

  • 必要な人員
    事業開始時、1年後、3年後…と、フェーズごとに必要な人員数と役割(開発、営業、マーケティングなど)を示します。
  • 採用計画
    どのようなスキルや経験を持った人材を採用するのか、そのための採用スケジュールも示します。

このセクションは、あなたが事業の実現可能性を深く考えていることの証となります。

4.稟議を通すためのテクニック

事業計画書が完成したら、いよいよ社内でのプレゼンです。ここでは、計画書をさらに魅力的に見せるためのテクニックを紹介します。

  • 「なぜ、今なのか?」を強調する
    市場のトレンドや社会課題など、「今、このタイミングでなければならない」という必然性を強調します。
  • リスクを隠さない
    リスクを隠すのではなく、「リスクを認識し、その対策も考えている」ことを示すリスクと対策のセクションを設けます。例えば、「競合の参入」というリスクに対し、「差別化されたサービスで顧客を囲い込む」といった対策を提示することで、あなたの事業に対する信頼性が増します。
  • 簡潔なサマリー
    プレゼンでは、長々と説明するのではなく、「事業のミッション」「解決する課題」「収益モデル」「今後の成長」を簡潔にまとめたスライドから始めます。「エレベーターピッチ」(エレベーターに乗っている間の短い時間で説明すること)を意識して、要点を絞り込みましょう。

最後に

事業計画書は、ただの書類ではありません。それは、あなたのアイデアと情熱を、論理と数字で裏付ける「未来の設計図」です。

最初から完璧なものを作ろうとする必要はありません。まずはざっくりとした骨子を作成し、誰かに見てもらいながら、フィードバックを得て修正を繰り返すことが重要です。

このコラムで紹介した項目とテクニックを参考に、あなたの情熱が詰まった、出資者や決裁者が「これならいける!」と納得する事業計画書をぜひ作成してみてください。

あなたの挑戦を心から応援しています。

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