新規事業を加速させる補助金・助成金ガイド
資金調達は融資だけじゃない!
新規事業を立ち上げる際、多くの起業家が直面するのが「資金調達」という大きな壁です。銀行からの融資は、返済義務という重い責任が伴いますし、投資家からの出資は、事業の自由度を制限する可能性があります。
しかし、資金調達の選択肢はそれだけではありません。国や地方自治体は、新しい挑戦を後押しするために、返済不要の補助金や助成金という強力な支援制度を用意しています。
「でも、種類が多すぎて何から手をつけていいかわからない」「申請手続きが難しそう」と、二の足を踏んでいる方も多いのではないでしょうか。
このコラムでは、新規事業を加速させるための補助金・助成金を徹底解説します。補助金と助成金の違いから、主要な制度一覧、そして申請の流れと注意点まで、あなたの資金調達の悩みを解決するヒントを網羅的にお届けします。
補助金と助成金、何が違う?
多くの人が混同しがちな「補助金」と「助成金」ですが、実は明確な違いがあります。
補助金
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目的
国の政策目標(例: 中小企業の生産性向上、研究開発支援)を達成するために、事業者の活動を支援する。 -
特徴
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公募期間が短い
申請期間が数週間〜1ヶ月程度と限定されていることが多い。 -
審査がある
申請内容の事業計画が、政策目標に合致しているか、事業の実現性があるかなどを厳しく審査される。 -
採択件数が決まっている
予算や件数に上限があり、応募者全員が受給できるわけではない。 -
後払い
事業完了後に、実際に支払った費用の一部が支給される。
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助成金
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目的
雇用の創出や労働環境の改善など、社会的な課題を解決するために、事業者を支援する。 -
特徴
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通年で申請可能
多くの助成金は、一定の要件を満たせばいつでも申請できる。 -
要件を満たせば受給できる
審査はあるが、補助金ほど厳しくなく、要件を満たしさえすれば原則として受給できる。 -
労働関連が多い
厚生労働省が管轄するものが多く、雇用や人材育成に関連するものが中心。 -
後払い
補助金と同様に、事業完了後に支給される。
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簡単に言えば、「補助金は競争、助成金は要件」と覚えておくと良いでしょう。
2025年版!新規事業で使える主要な補助金・助成金一覧
これから新規事業を始める、あるいは軌道に乗せようとしているあなたが活用できる、主要な制度をいくつかご紹介します。
1. ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(通称: ものづくり補助金)
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目的
サービス開発、試作品開発、生産プロセス改善など、中小企業の革新的な事業活動を支援。 -
特徴
製造業だけでなく、サービス業や小売業も対象。新製品開発や設備投資など、幅広い用途で活用できる。 -
対象経費
機械装置・システム構築費、技術導入費、専門家経費など。
2. 事業再構築補助金
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目的
新分野展開、事業転換、業種転換など、中小企業の大胆な事業再構築を支援。 -
特徴
新規事業の立ち上げに特化した大型補助金。補助金額も大きく、最大1.5億円まで受けられる場合もある。 -
対象経費
建物費、機械装置・システム構築費、広告宣伝費など。
3. IT導入補助金
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目的
中小企業・小規模事業者が、自社の課題やニーズに合ったITツールを導入する経費の一部を補助。 -
特徴
Webサイト制作、会計ソフト、顧客管理システム(CRM)など、幅広いITツールが対象。 -
対象経費
ソフトウェア購入費、クラウド利用料、専門家経費など。
4. 創業・事業継承補助金
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目的
新たに創業する個人や、事業承継を行う中小企業などを支援。 -
特徴
創業に必要な経費を幅広くカバーしてくれる。事業計画の実現可能性や成長性が重視される。 -
対象経費
創業費、設備費、広告宣伝費など。
5. 各種助成金(厚生労働省)
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目的
雇用の維持・創出、人材育成、労働環境改善などを支援。 -
例
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キャリアアップ助成金
非正規雇用労働者を正社員化した場合に支給。 -
人材開発支援助成金
従業員に職務に関連する訓練を実施した場合に支給。 -
雇用調整助成金
新型コロナウイルスなどの経済的な理由で事業活動が縮小した際に、従業員の雇用を維持した場合に支給。
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これらの制度は、時期や要件が変動しますので、必ず最新の情報を中小企業庁や厚生労働省のウェブサイトで確認してください。
補助金・助成金申請の流れと注意点
1. 申請の流れ
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情報収集
自分の事業内容に合った補助金・助成金を探す。 -
事業計画書の作成
審査の肝となる事業計画書を作成。なぜこの事業が必要なのか、どうやって収益を出すのか、資金の使い道などを具体的に記載する。 -
申請
必要書類を揃え、決められた期間内に申請する。 -
審査
提出された書類をもとに審査が行われる。補助金の場合は、プレゼン形式の面接が行われることもある。 -
採択
審査に通過すれば、採択通知が届く。 -
事業実施
計画書に沿って事業を進める。 -
実績報告
事業完了後、かかった費用や成果を報告する。 -
入金
報告が承認されれば、補助金が入金される。
2. 申請時の注意点
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事業計画書の出来がすべて
補助金は特に、事業計画書の論理性が問われます。「なぜ、この事業が必要なのか?」「なぜ、この金額が必要なのか?」といった「なぜ?」に明確に答えられるように、具体的な根拠を盛り込みましょう。 -
加点項目を意識する
多くの補助金には、「女性起業家」「地域貢献」「デジタル化」など、加点される項目が設けられています。自社の事業が該当する場合は、積極的にアピールしましょう。 -
専門家を活用する
複雑な手続きや事業計画書の作成に不安がある場合は、中小企業診断士や行政書士といった専門家に相談することも一つの手です。彼らは申請のプロであり、採択率を高めてくれます。 -
詐欺に注意
「100%採択される」「着手金だけでOK」といった甘い言葉で近づいてくる詐欺業者には注意が必要です。信頼できる専門家を選ぶことが重要です。
最後に
新規事業の資金調達は、アイデアと同じくらい重要です。補助金や助成金は、あなたの夢を加速させる強力なツールとなり得ます。
しかし、これらの制度は「誰にでも平等に与えられる」ものではありません。 「どんな課題を解決したいのか?」 「なぜ、あなたの事業がその解決策となり得るのか?」
この二つの問いに、情熱とロジックをもって答えられる事業計画書を作成することこそが、資金調達を成功させるための最大の秘訣です。
さあ、資金の壁に悩むのはもうやめて、補助金・助成金を活用して、あなたの夢を現実のものにしませんか。