残業を月5時間削減!経理業務のタイムマネジメント術
「今月も、終わらなかったか…」
時計の針が夜遅くを指し、静まり返ったオフィスで、パソコンの画面と電卓をにらむ。経理担当者であれば、誰もが一度は経験したことのある光景ではないでしょうか。
日中は急な問い合わせや他部署からの依頼に追われ、本来の業務は夜にならないと手つかずのまま。月末月初や決算期は、さらに業務量が膨れ上がり、残業は当たり前。
しかし、本当に「仕方ない」ことなのでしょうか?
今回は、あなたの働き方を劇的に変え、残業を月5時間、あるいはそれ以上削減するための具体的な「タイムマネジメント術」をご紹介します。
なぜ、経理の残業はなくならないのか?
まずは、あなたの時間とやる気を奪う「残業の根源」を見つめ直しましょう。経理部門で残業が増える原因は、主に以下の3つに集約されます。
1. 業務の波が大きすぎる
経理業務には、「月次」「四半期」「年次」といった明確なサイクルがあります。月末月初は売掛金・買掛金の締め、請求書発行、経費精算などで業務が集中し、それに加えて月次決算や年次決算が重なると、業務量は一気にピークに達します。この「波」にどう対応するかが、残業を減らすための最初の課題です。
2. 目の前のタスクに追われ、優先順位が見えなくなる
日中に飛び込んでくる緊急性の高いタスク(例:経費精算の問い合わせ、急な支払い依頼など)に振り回され、本来やるべき重要なタスク(例:仕訳入力、データ集計など)が後回しにされていませんか? 目の前のタスクをただこなしているだけでは、いつまで経っても根本的な業務は進みません。
3. 非効率な手作業が多すぎる
「またこの数字をExcelに手入力しないと…」
「この領収書、また糊付けしないと…」
いまだに多くの経理部門で、「手作業」が中心の業務プロセスが残っています。紙の書類を扱う作業、手入力によるデータ転記、目視でのチェック作業。これらは一つひとつは小さな作業ですが、積み重なると膨大な時間を消費し、残業の温床となります。
今すぐできる!3つのタイムマネジメント術
これらの課題を解決するために、今日からでも実践できる3つの具体的なテクニックをご紹介します。
1. 「緊急度」ではなく「重要度」でタスクを仕分ける
まずは、あなたのタスクを「重要度」と「緊急度」の2軸で整理する習慣をつけましょう。
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重要かつ緊急なタスク
今すぐやるべき最優先事項。(例:税務申告の期日が迫っている、給与計算) -
重要だが緊急ではないタスク
長期的な視点で取り組むべきタスク。(例:業務マニュアルの作成、新しいシステムの情報収集) -
重要ではないが緊急なタスク
誰かに任せられる可能性があるタスク。(例:簡単な問い合わせ対応、資料の印刷) -
重要でも緊急でもないタスク
無駄な時間。本当にやるべきか見直す。(例:不要なメールチェック、雑用)
多くの人は、「緊急だが重要ではないタスク」に時間を奪われがちです。まずは、このタスクを減らすことから始めましょう。可能であれば、他部署にルールを徹底してもらう(例:経費精算は締め日厳守)か、簡単な問い合わせは自動応答で対応するなど、「他者からの緊急の要求」に振り回されない工夫をしてください。
2. 業務の割り当てを「見える化」する
もしあなたがチームのリーダーであれば、タスクの割り当てを見直しましょう。
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業務フローの可視化
チームメンバー全員で、経理業務全体のフローを「見える化」しましょう。「請求書発行はAさん、経費精算はBさん、支払い処理はCさん…」といった具合に、誰がどのタスクを担当しているかを共有します。 -
スキル・経験に合わせた割り当て
誰がどの業務を得意としているか、またはどの業務に苦手意識があるかを把握し、タスクを再分配します。得意な業務に集中させることで、全体としての生産性が向上します。 -
業務の標準化
特定の担当者しかできない業務をなくすための「標準化」も重要です。シンプルなマニュアルを作成し、誰でも同じ品質で業務をこなせるようにすることで、業務が特定の担当者に集中することを防ぎます。
3. ITツールを活用して「手作業」を自動化する
最も効果的な残業削減策は、「手作業の削減」です。
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クラウド会計ソフトの導入
銀行口座やクレジットカードを連携させ、仕訳の自動作成を可能にします。これにより、手入力の時間が大幅に削減されます。 -
経費精算システム
従業員がスマートフォンで領収書を撮影するだけで精算が完了するため、経理担当者は領収書の糊付けや目視での確認作業から解放されます。 -
RPA(Robotic Process Automation)の活用
複数のシステム間でのデータ転記や、定型的なレポート作成など、繰り返し発生する単純作業をロボットに任せます。
「うちの会社はITに弱いから…」と諦める必要はありません。多くのクラウドサービスは、専門知識がなくても直感的に操作できるものが増えています。まずは、「経費精算だけ」「請求書発行だけ」など、小さなタスクから自動化を試みてください。
最後に:残業削減は「目標」ではなく「手段」
「残業を月5時間減らす」という目標を達成することは、素晴らしいことです。しかし、本当に重要なのは、その先の「ゴール」です。
残業を減らすことは、あなたがより健康的で充実した生活を送るための「手段」です。
そして、手作業から解放された時間は、あなたがより付加価値の高い業務(例:経営分析、コスト削減提案、新しい業務フローの構築)に集中するための「投資」となります。
ぜひ、今回ご紹介したテクニックを一つでも試してみてください。そして、あなたの時間を最大限に活かし、経理という仕事の新たな可能性を切り拓いてください。
明日から、あなたの働き方はきっと変わります。