新規事業立ち上げメンバーに必要な3つの役割とスキル

新規事業のアイデアがどれほど素晴らしいものでも、それを実現する「人」がいなければ、絵に描いた餅で終わってしまいます。特に、新規事業の立ち上げ期は、不確実性の高い荒野を突き進むようなものです。この困難な旅を成功へと導くためには、ただ優秀な人材を集めるだけでなく、それぞれの役割とスキルが明確な、バランスの取れたチームを組成することが不可欠です。

このコラムでは、新規事業の立ち上げメンバーに不可欠な3つの主要な役割と、それぞれに求められるスキルについて解説します。あなたのチームに最適なメンバー構成を理解し、プロジェクトの成功確率を飛躍的に高めるためのヒントをお届けします。

チームは「三位一体」で機能する

新規事業を立ち上げるチームは、以下の3つの役割が揃うことで、初めて円滑に機能し始めます。

  1. プロジェクトリーダー
    ビジョンを描き、チームを牽引する「船長」

  2. プロジェクトマネージャー
    計画を立て、実行を管理する「航海士」

  3. プロジェクトコーディネーター
    チーム内外を繋ぎ、円滑なコミュニケーションを促す「通信士」

この三つの役割は、時に一人が複数兼任することもありますが、それぞれの役割に求められる思考法やスキルは全く異なります。

1.プロジェクトリーダー:未来の羅針盤を指し示す「船長」

プロジェクトリーダーは、新規事業のビジョンとミッションを定義し、チームの進むべき方向を指し示す役割を担います。単なるプロジェクトの責任者ではなく、チームメンバーのモチベーションを高め、困難な状況でも挑戦し続ける勇気を与える存在です。

役割
  • ビジョンとミッションの策定
    「なぜ、この事業をやるのか?」という存在意義を明確にし、チームに共有する。

  • 最終意思決定者
    プロジェクトの進捗を常に把握し、重要な局面での意思決定を行う。

  • 外部との交渉・折衝
    経営層や社外のパートナーとの交渉を担い、プロジェクトの障害を取り除く。

求められるスキル
  • リーダーシップとカリスマ性
    チームメンバーを鼓舞し、同じ目標に向かって突き進むよう導く力。

  • 交渉力とプレゼン能力
    経営層や出資者、パートナーを説得し、プロジェクトに必要なリソースを獲得する力。

  • 事業ドメインの専門知識
    市場や競合、顧客について深い知識を持ち、事業の妥当性を冷静に判断する力。

多くの大企業では、プロジェクトリーダーの役割を部長や役員が兼任することが多いですが、彼らが事業の専門知識を持たず、意思決定が遅れると、プロジェクトは停滞してしまいます。リーダーは、事業に対する情熱と深い理解を兼ね備えている必要があります。

プロジェクトマネージャー:計画通りに物事を進める「航海士」

プロジェクトマネージャーは、プロジェクトの計画、実行、監視、そして完了までを管理する役割です。プロジェクトリーダーが描いた大きなビジョンを、具体的なタスクに落とし込み、メンバーのスケジュールやリソースを管理し、計画通りに事業が進むように導きます。

役割
  • 計画立案と進捗管理
    タイムライン、予算、リソースを管理し、プロジェクトが計画通りに進んでいるか常に監視する。

  • リスク管理
    プロジェクトに潜在するリスクを事前に特定し、問題が発生する前に対策を講じる。

  • タスクの割り振り
    チームメンバーのスキルや能力を最大限に引き出すように、適切なタスクを割り振る。

求められるスキル
  • プロジェクト管理の知識
    ガントチャート作成、クリティカルパス分析など、プロジェクト管理手法に関する体系的な知識。

  • 論理的思考力
    複雑なプロジェクトを分解し、論理的な手順で計画を立てる力。

  • 問題解決能力
    予期せぬ問題が発生した際、冷静に原因を分析し、迅速に対策を講じる力。

プロジェクトマネージャーは、プロジェクトの成功確率を左右する非常に重要な役割です。しかし、新規事業の立ち上げは不確実性が高いため、計画通りに進まないことが前提となります。そのため、完璧な計画を立てるだけでなく、柔軟に計画を修正していく能力が求められます。

3.プロジェクトコーディネーター:情報の流れを円滑にする「通信士」

プロジェクトコーディネーターは、チーム内外のコミュニケーションを円滑にするための役割です。メンバー間の認識のズレを解消し、必要な情報を正確に、そしてタイムリーに共有することで、プロジェクトの停滞を防ぎます。特に、大企業と外部パートナー(スタートアップ、コンサルタントなど)との協業では、この役割が非常に重要となります。

役割
  • 情報共有のハブ
    チームメンバーや関係者間で、会議の議事録や進捗状況、課題などをタイムリーに共有する。

  • スケジュール調整
    複数のステークホルダーが関わる会議やイベントのスケジュールを調整し、スムーズな運営をサポートする。

  • リレーションシップ構築
    チームメンバー間の円滑なコミュニケーションを促し、健全なチームワークを築く。

求められるスキル
  • コミュニケーション能力
    相手の意図を正確に理解し、自分の考えを分かりやすく伝える力。

  • 傾聴力とファシリテーション能力
    チームメンバーの意見を引き出し、建設的な議論を促す力。

  • 調整力
    異なる意見を持つメンバーや部署間の利害を調整し、落とし所を見つける力。

プロジェクトコーディネーターは、目立つ役割ではありませんが、プロジェクトの潤滑油として欠かせない存在です。この役割が不在だと、情報共有が滞り、メンバー間の不満が溜まり、プロジェクトが空中分解してしまうリスクが高まります。

最後に:最適なチーム構成のヒント

これらの3つの役割を完璧にこなせる人材は、そう多くありません。現実には、一人が複数の役割を兼任したり、外部の専門家をアドバイザーとして迎え入れたりすることになります。

  • 役割を明確にする
    チームメンバー全員で、それぞれの役割と責任を明確に共有しましょう。

  • スキルの穴を埋める
    チーム全体で見たときに、不足しているスキル(例: 技術的な専門知識、財務分析能力など)がないかを確認し、必要に応じて外部の力を借りましょう。

  • 信頼関係を築く
    メンバーがお互いを信頼し、自由に意見を言い合える心理的安全性の高いチームを築くことが、何よりも重要です。

新規事業の成功は、適切なメンバーと役割分担にかかっています。今日から、あなたのチームにこれらの役割が揃っているか、一度見直してみてはいかがでしょうか。

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